令和5年2月号会報「東基連」編集後記

厳寒の二月を迎えた。吐く息も白い朝の通勤路。ビルの地下駐車場入口に立つ警備員さん。その明るく丁寧な朝の挨拶が、凍えた気持ちを温めてくれる。警備員さんは人の流れを注視しながら、車両の誘導を。この人達がいればこそ、安全で円滑な通行が保たれる。社会では多くの方々が、人々の安全と健康を守るために懸命に尽力されている。
まもなく、厚生労働省から「第14次労働災害防止計画」が公表される。労働者の命を守るとの労働安全衛生法の理念を体現する、これからの5年間の羅針盤。そして、この羅針盤を持ち運用するのは、各企業等の安全衛生担当者。勿論、担当者だけで出来ることではない。係わる全ての人の力が求められよう。
労働相談業務を担当する旧知の友人は、「労働相談の現場は、ハラスメントの悩みで溢れ返っている」と語る。ここでも、人の命を守るため、長時間労働の解消等を含め、ハラスメント等に対する、迅速にして適正な労務管理の運営が求められている。
ある先輩から「労務管理、安全衛生管理は、人の命を守る仕事だ」と教えられた。「人の命を守る仕事に携われることが、何よりの誇りだ」とも。この言葉を敷衍(ふえん)すれば、現場を含め係わる全ての人々が、「人の命を守る仕事」に携わっていることになる。
職場では様々な人が働いている。中には、慣れぬ業務に苦労している人もいるだろう。しかし、「期待されている、信頼されていると感じた時に、人は大きく力を発揮する」と言われている。自身の来し方を振り返ってみても、その通りだと思う。職場の一人一人が、それぞれの持つ可能性を信じ、互いに声を掛け合う。そこに、「人の命を守る」労務管理・安全衛生管理の、最初の一歩があることを信じて。
小太郎