令和3年11月号 会報「東基連」編集後記



東京都最低賃金が10月1日に発効して、1か月が経過した。過去最高金額の1041円の決定に際しては、東京地方最低賃金審議会で労使が激しく対立し、使用者側団体からは企業への支援策の要望も出された。 これらはニュースでも取り上げられたが、そもそも、コロナ禍の影響などで職を失い、最低賃金引き上げの恩恵を受けられぬ多くの人がおり、都庁前の炊き出しに長い行列が出来た光景も、記憶から消えることは無い。
そのような状況が十分に改善されたとは言い難いが、東京都最低賃金が発効して1か月。賃金が当月締めの翌月払いの労働者にとっては、今月受け取るお給料が、改定された最低賃金下での最初の賃金となる人も多かろう。
コロナ禍の中、大変な苦労をされ、今も懸命に目前の仕事に取り組んでいる経営者、労働者、そしてそのご家族の方々が国民の多くであろう事に思いを馳せる時、最低賃金改定後の最初の賃金となる今月のお給料には、支払う側にも、受け取る側にも、様々な思いが籠められているように思えてならない。
晩秋である。妻の了解を得て、今月のお給料では、ススキをはじめ秋の草花と団子を買い求め、秋の夜長、読まぬままになっている本を手に取ることにしよう。
小太郎