令和4年9月号会報「東基連」点描

この9月にも、当連合会の東京衛生管理者協議会の「令和4年度第1回研修会」が開催される。今回のテーマは、「衛生管理者と産業医」「騒音障害防止ガイドラインの見直し状況」「化学物質管理の見直し内容とその時期」など。
東京衛生管理者協議会は、平成9年に設立され、東京都に所在する企業に勤務する衛生管理者を会員として、年に2回の研修会を軸にそのレベルアップに努めてきた。
衛生管理者は、企業において労働安全衛生法等に定められている各事項の遵守を担うとともに、労働環境の改善・向上と労働者の心身にわたる健康増進の推進という大切な使命をもつ産業安全衛生スタッフの一員。
衛生管理者の活動は地道かもしれないが、労働環境と労働者の健康を守る、謂わば「命のゴールキーパー」として、その職責は重要である。
そんな衛生管理者の一人である、東京衛生管理者協議会副会長の「神津進」氏が、本年7月に「安全衛生に係る厚生労働大臣表彰」の「功績賞」を受賞した。全国衛生管理者協議会の事業検討委員会委員長としての、長年の功績に対しての表彰。
何よりも、どちらかと言えば陰の支えとして、献身的に活動されている、多くの衛生管理者の方々にも繋がる顕彰と捉えれば、これ以上の喜びはない。
多くの労働者は、家族の幸福のため、自身の夢の実現のため、そして所属する企業の発展のため、日々懸命に働いている。そのような労働者の健康が、その労働の現場で害されることはあってはならない。
そのために、日々汗を流す衛生管理者。その方々の傍らに立つ者の一人として、今回の受賞を祝福すると共に、全ての東京の衛生管理者、命のゴールキーパーの健闘に心からのエールを贈りたい。
(小太郎)

令和4年9月号会報「東基連」編集後記

19世紀の海洋画家イヴァン・アイヴァゾフスキーの作品、「第9の怒涛」。縦221㎝、横322㎝の大きさのこの油彩画に魅了されている人は多い。
画題は、荒れ狂う夜の嵐の海で襲いかかって来る巨大な波。第1の波から第2、第3と次第に大きくなり、中でも9番目の波が最も破壊的で最高潮に達し、その試練を乗り越えると天の助けがあると言い伝えられていると。この絵には、難破した船の木片にしがみ付く人々と、迫り来る第9の波が描かれている。
幾度となく感染拡大を繰り返す新型コロナウイルス感染症との戦いも2年半を超え、感染拡大の波は前回を大きく超えながら第7波を数えた。
今月号の「労務・安全衛生深掘り探訪記」と「ちょこっと用語」では、「新型コロナウイルス感染症と労災補償給付」。そして「罹患後症状」と呼ばれる、回復したにも係わらず「疲労感・倦怠感」などが生じる症状について考えた。
各職場においては、一定の新型コロナウイルス感染症対策が確立されているであろう。それを踏まえながら、一人ひとりを大切にした対応をお願いしたい。特に「罹患後症状」で悩んでいる人には、医療機関、地方自治体、そして労働基準監督署等の相談窓口へのアドバイスを。
「第9の怒涛」には、木片にしがみ付き励まし合う6人が描かれている。そのうちの一人は今にも波間に沈む寸前にあり、それを別の一人が懸命に引き上げ、そして画面中央には、夜の嵐の海に勝利した者に昇る太陽が。
国連は、SDGsで「誰一人置き去りにしない」との理念を掲げた。新型コロナウイルス感染症との戦いは、まだまだ続くのかもしれない。そこで大切なことの一つは、「誰一人置き去りにしない」との強い思いに支えられた、周囲の人々への励ましであるように思えてならない。 
小太郎