令和4年12月号会報「東基連」編集後記

晩秋、群馬と新潟との県境にある三国峠に紅葉狩りに出かけた。真紅の紅葉、鮮やかな発色の黄葉にも癒されたが、ほど近い新潟の日帰り温泉で出逢った人生の先輩達の姿が忘れられない。笑いと語らいの中で、食事を愉しむ七十代、八十代と思しき男性三人、女性一人。名物の蕎麦と天婦羅の盛り合わせを前に、盃を酌み交わす笑顔の語らいは、隣席の私達をも温かな雰囲気に包んでいく。
隣り合ったのも何かの縁と語り掛けるなかで、女性が「私達は兄妹なんです。もう4人とも70歳半ばを越えましたが、元気な間はと、年に何回か集まって食事をしながら、励まし合っているんです」と。最高齢と思われる男性が笑いながら「もうお迎えも近いだろうし、毎回、『これが最後だ!』と言いながら続いているんだ」とも。
人生の先輩が語る「励まし」の「励」という字には、「万の力」が含まれている。一言の励ましであっても、その一言は「万の力」となって相手に勇気と希望の火をともす。
この一年を振り返れば、新型コロナウイルス感染症と戦うなかで、ロシアのウクライナ侵攻が勃発。不安定な世界経済のなか円安が進行し、物価高にも直面している。そんな中、私達一人ひとりが置かれている状況は千差万別であろうが、誰もが懸命に目の前の課題に挑戦していよう。そして、その挑戦を支えるのが「励まし」の言葉。
今年を締め括る12月が始まる。この12月の個々の働きが、迎える来年の発展の礎ともなる。大変な時こそ、「万の力」を持つ「励まし」を互いに贈り合う私達でありたい。
小太郎