令和5年12月号会報「東基連」編集後記

居心地の良いうどん屋さんに出会った。店名に「串焼き」ともあり、夜は居酒屋に。しかし、ご主人が工夫する多彩な創作「肉汁うどん」が評判を呼び、いつしか老若男女が集う大人気店に。この店に入るだけでホッとする不思議さ。そして、私の一番の推しは「炙り鶏の柚子塩つけうどん」。これが美味しい。
しかし、旨いからと言って居心地の良い店とは限らない。いつも笑顔で、さり気なくお客さんの気持ちを掬い取る女将さん。顔は怖いが腕は確かで、訪れた客の好みを決して忘れないご主人。明るく気が利くスタッフ達。それらが渾然一体となり醸し出される、配慮に満ちた温かな雰囲気。これが居心地が良いと感じる理由であろうか。
ある上司から「人を『励ます』とは、その人に『自信を持たせること』。」と教えられた。自信を持たせるとは、「相手が本来持っている力を見つけ引き出すこと」とも。それは、相手をよく知ろうとするところから始まるのだろう。その人の話に耳を傾け、受け入れ、その通りだと共感する。そして、見えて来た本来持っている力の可能性を最大限に評価する。冒頭に紹介したうどん屋さんの「居心地の良さ」にも相通じる、配慮に満ちた信頼関係は周囲へも波及していくに違いない。
年頭の「編集後記」に、本年の歩みを開始するにあたり「会員の方々に必要とされるものを先駆けてお届けすることを心に定め」と記した。
この約束を果たすために、職員一同が懸命に駆け抜けた一年であったように感じる。これを更に確かなものとするためにも、職員を始め係わる人たちが居心地の良さを感じる職場であり続けたい。
今年もあと僅か。もうひと踏ん張りし、暮れには、居心地の良いうどん屋さんに年越し蕎麦ならぬ、年越しうどんを食べに行こう。オーダーは、「炙り鶏の柚子塩つけうどん」で。
(小太郎)