令和7年7月号会報「東基連」編集後記

東基連が厚生労働省から委託され作成した「外国人労働者の労働災害防止のための表示(イラスト・注意喚起文)」が、厚生労働省のホームページに掲載された。外国人労働者が機械等による危険を視覚・直感的に理解できるイラストと、それらと組み合わせる外国語による注意喚起文。これを事業場内に掲示するなどにより、外国人労働者の労働災害防止対策に取り組むもの。
外国人労働者の安全管理の専門家からなる有識者会議。その会議にイラストレーターの方々にも参加していただき、議論を重ねて作成されたイラスト。更にそのイラストを、外国人労働者の出身国の実情に詳しい通訳の方々に見て頂き細かな修正を加えた。その作成の傍らにいた者の一人として、完成した35枚のイラストと10の言語に訳された17種類の注意喚起文が、災害の発生を防ぐ一助となることを切に願う。
令和6年の外国人労働者の労働災害発生状況は、死亡者数「39人」、休業4日以上の死傷者数「6,244人」。1年間の労働者1,000人当たりに発生した労働災害発生件数を表す「死傷千人率」。全ての労働者の死傷千人率は「2.3」。外国人労働者は技能実習が「3.91」、特定技能が「3.71」。この数字の差をどう見るか。ある人は「誤解を恐れずに言えば、日本の労働現場は、外国人労働者にとっては危険な作業環境である」と。
全国安全週間が始まった。今年のスローガンは「多様な仲間と 築く安全 未来の職場」。実施要領では、高年齢労働者、外国人労働者等が挙げられ、安全管理の徹底や安全活動の活性化が謳われている。このスローガンは1週間だけのものだろうか。そんなことはない。少なくともこれからの1年間の目指すべき指標であろう。
目標があるから挑戦があり、成長がある。目標が曖昧であれば、力を出せず曖昧な結果で終わってしまうとも。それぞれが現状を分析し、目標を定め、取り組みを進めたい。
多様な仲間を守る、誰にとっても危険では無い日本の作業環境であるために。
小太郎