令和4年5月号会報「東基連」編集後記

四季の彩りに恵まれた日本列島。季節の移ろいのなか、列島を色取る鮮やかな色彩は南から北に駆け上がる。四季をイメージする色への思いは人それぞれであろうが、5月の心象風景を飾る色を「緑」とした時の異論は少なかろう。若葉が薫る季節。新緑の眩しいばかりの輝きは、人の心を清々しい気持ちに導いていく。
そして「緑」は、安全衛生の象徴でもあるシンボルマーク「緑十字」を表す色でもある。緑十字は、大正8年に東京市及びその周辺の隣接町村で行われた最初の安全週間の際、蒲生俊文が考案し採用されたものが始まり。十字は西洋では仁愛を意味し、東洋では福徳の集まるところを意味すると。(現在に続く全国安全週間は、第1回が昭和3年に内務省主催により全国で統一して行われた)
本年度は、第13次労働災害防止計画の最終年度である。しかし、東京では死亡災害を始めとする悲惨な重大災害の発生が続いている。来月には全国安全週間準備期間を迎えるが、現下の労働災害発生状況は、それを待つような状態ではなかろう。5月から7月までの、全国安全週間準備期間、全国安全週間があるこの3か月。関係者は改めて死亡・重大災害は起こさないとの深い決意に立ち、取り組みを強化して欲しいと願うのは私だけでは無い筈だ。
5月の新緑は、8月の夏の万緑へと向かう。濃い緑の万緑が列島を覆い尽くす8月。東京のそこかしこから、「私の職場では重大災害は発生させなかった」との声が上がることを、ひたすらに祈る。
小太郎