舞台は整っていた。「童謡ふるさと館」(群馬県みどり市)前庭の大きな枝垂れ桜は満開。風に揺れる桜色の花びらを透かして見える青空と白い雲。飛花落花の中、枝垂れ桜の下は豪奢な花弁の絨毯。そこに据えられたテーブルには、ユニフォーム姿の笑顔の女性が五人。そして、中央には車椅子の高齢の女性が。
楽しそうに歓談していた彼女らは、高齢の女性に向かうと声を合わせて歌いだした。「♪Happy birthday to you, Happy birthday to you, Happy birthday dear,YOSHIKO, Happy birthday to you♪」。「よしこさん! 93歳の誕生日、おめでとう!」。桜色に染まる舞台で演じられた、介護施設職員による心尽くしのお祝いの会。笑顔満開のおばあちゃん。偶々(たまたま)居合わせた私達。たった二人の観客だったが、心からの拍手を送った。
先月の3日、「TOKYO 介護施設 SAFE協議会」が開催された。東京労働局・健康課は「介護施設の労働災害防止」について現状等の報告を。更に、14次防でも目標が設定されている腰痛予防対策「ノーリフトケア」※について、有識者から講演が行われた。
その中で、「看護や介護に関わる人の腰痛を職業病としてあきらめない」との言葉が心に残った。「医療や介護の顧客は、国民全体である」とも。労働基準行政は「(介護施設)職員の幸せのための安全アクション」を打ち出している。この取り組みは、職員のみならず国民全体の幸せに繋がろう。
この4月、もう一度「童謡ふるさと館」の咲き誇る枝垂れ桜を訪ねてみよう。職員と利用者による、桜色に染まる舞台が繰り広げられているかもしれない。多くの施設で懸命に介護に携わる職員の方々。深い敬意を捧げ、何らかの形で関わりを持ち続ける私でありたい。
(小太郎)№51
※【ノーリフトケア】介護を行う際に介助者の力だけで被介護者を「持ち上げない・抱え上げない・引きずらない」介護方法。リフトの利用などの機械化、スライディングシートなどの移乗用具の活用など、介助者と被介護者双方の安全と負担軽減を図るケア。

