令和7年2月号会報「東基連」編集後記

寒さも緩み始めた2月の末。当時、保育園に通っていた次男が、園のみんなと初めてのイチゴ狩りに出掛けた。大好きな甘いイチゴ。彼は綺麗なイチゴを3個、そっとジャンパーのポケットに。お母さんとお兄ちゃんとお父さんへのお土産。帰って来た彼は「お母さん、お土産。イチゴだよ」。彼がポケットから出した苺は。そう、苺は。苺は潰れていて、ビックリした彼は大きな涙を浮かべると大泣きに。妻が抱き締めて慰めたが、暫くのあいだ泣き止まなかった。
この2月1日、創設された「化学物質管理強調月間」がスタートした。月間の内容等については、本号の「桃樹のちょこっと用語」に詳述したが、新たな化学物質の規制(自律的管理)を広く周知する取り組みの必要性を踏まえてのこと。その背景には、年間500件を超える「火傷」「薬傷」「化学熱傷」等の「化学物質の性状に関連の強い労働災害」の発生がある。しかも、その13.2%が食料品製造業、11.0%が小売業・飲食店で発生しており、化学物質による災害リスクが私たちの身近に存在していることを示している。
先月下旬、東基連本部・支部と東京労働局・労働基準監督署が、化学物質の自律的管理に関するセミナーを都内3会場で共催。そこでは、リスクアセスメントの実施により、危険要因を把握し除去していくことの重要性が訴えられた。
イギリスの看護師フローレンス・ナイチンゲールは、良い組織に共通する条件として次の言葉を残している。それぞれの人が、他人を「妨げるようにではなく、助けるように」していることと。彼女の言葉に照らせば、各人が「共に働く仲間達を化学熱傷等の労働災害から守る」との強い一念を持ち、行動することが求められる。
身近な人に喜んで貰いたい。次男のお土産に込められた素直な気持ち。周囲のために尽くそうする思いの大切さを、数十年を経た今も私に教えてくれる。
(小太郎)